2025年12月11日、OpenAIはGPT-5.2を正式に公開しました。今回の大型アップグレードは、専門的な推論、コード生成、長文コンテキスト処理、マルチモーダル入力を強化したものです。
この発表は、GoogleのGemini 3との厳しい競争に対応するため、社内で進められた「コードレッド」計画に続くものです。
GPT-5.2は、ツールやワークフロー全体でより高い性能と統合性を提供します。
ChatGPT-5.2とは
GPT-5.2はOpenAIが提供する最新の大規模言語モデルで、ChatGPTおよびAPIで利用できます。
GPT-5とGPT-5.1を基盤に、Instant(高速応答)、Thinking(高度推論と構造化作業)、Pro(研究や専門業務向けの高精度)の三つのバリアントを展開。12月11日より有料ユーザーと開発者向けに提供が開始されました。
主な強化点は、推論と汎化性能の向上、画像や長文への対応強化、ツール実行の改善、事実誤認の減少です。

(出典:OpenAI)
GPT-5.2はGDPvalなどのベンチマークで新たなSOTA(最先端)記録を達成し、44の職種にわたる多くの専門タスクで人間レベル以上の性能を示しています。
また、OpenAIはウォルト・ディズニー・カンパニーとの大型提携を発表。10億ドル規模の投資と、Disney、Pixar、Marvel、Star Warsなど200以上のキャラクターや世界観をSora(AI動画プラットフォーム)に提供する三年間のライセンス契約を締結しました。
ディズニーは社内の業務およびクリエイティブワークフロー全体でOpenAIツールを活用します。
性能ハイライト
GPT-5.2は専門領域のベンチマークで優れた結果を示しています。ThinkingモデルはGDPvalでトップスコアを記録し、多くの知識労働タスクで人間専門家を上回りました。
SWE-Bench Pro(ソフトウェア工学)などでも高い改善が見られ、GPQAやARC-AGIといった推論テストのスコアも向上しています。
内部テストでは、科学推論や複雑な計画など専門性の高い領域での精度上昇が確認されています。
GPT-5.1と比較すると、幻覚率が低下し、コード生成、データ分析、多段階プロジェクト管理などのワークフローで構造化された出力が強化されています。
安全性向上として、センシティブ内容の精確な処理、メンタルヘルス領域での適切な対応、2026年初頭に予定される「アダルトモード」に向けた年齢推定のテスト強化が含まれています。
コストと利用可能性
GPT-5.2はChatGPTの有料ユーザーと開発者向けAPIで利用できます。サブスクリプション階層により利用可能なモデルレベルが異なり、高位プランでは利用枠と機能が拡張されます。
API料金はミリオン単位の入力・出力トークンごとに設定され、キャッシュ利用時には割引が適用されます。
他モデルとの比較
| モデル | コンテキスト長 | 知能指数 | 価格(USD/100万Tokens) | 出力Tokens/s | レイテンシ |
| ChatGPT-5.2 | 400k | 未公開 | $1.75 | 未公開 | 未公開 |
| ChatGPT-5.1 | 400k | 70 | $3.44 | 103 | 29.12 |
| Gemini 3 Pro | 1m | 73 | $4.50 | 112 | 36.57 |
| Claude Opus 4.5 | 200k | 70 | $10.00 | 67 | 2.16 |
(出典:Artificial Analysis - LLM Leaderboard)
GPT-5.2は、GoogleのGemini 3やAnthropicのClaudeといった競合に対抗する位置付けとなっています。
OpenAIは推論、コード生成、長文処理での優位性を主張していますが、競合はビジョン性能やエコシステム統合で強さを保っています。
Gemini 3がGoogle製品全体に急速に統合されていることは、GPT-5.2リリースを後押しする競争環境を象徴しています。
業界と市場の文脈
GPT-5.2の公開は、モデル開発が急速に進む業界全体の動きを反映しています。OpenAIはモデル品質、長文処理、戦略的提携に重点を置き、競合はエコシステム拡大や無償プランで攻勢を強めています。
企業は日常業務におけるAI活用を拡大し、実験段階から本格導入へ移行しています。
調査では、生産性向上に対する経営層の期待が高まる一方、自動化リスクや人材への影響も引き続き検討されています。
編集者コメント
OpenAIがGPT-5.2を迅速に投入した背景には、激化する競争に対応するための戦略転換があります。技術改善に加え、ディズニーとの提携がコンテンツ展開と収益面を強化する重要な要素となっています。
ベンチマークは業務効率化への期待を示す一方、ユーザーコミュニティで指摘される応答低速化や過度の拒否対応などを解決できるかが継続利用の鍵となります。
2026年半ばまでには、Soraとの連携によるマルチモーダル強化やより個別化されたエージェントが進展し、Googleなど競合がインフラ投資を拡大する中でOpenAIが優位性を維持する可能性があります。




