『ウィッチャー』シリーズや『サイバーパンク2077』で知られるワルシャワ拠点のCD Projektは、2025年第3四半期(9月30日終了)の業績で堅調な結果を報告しました。
主力タイトルである『サイバーパンク2077』およびその拡張版の継続的な販売が牽引し、市場予想を上回る収益と利益を達成しました。
この成果は、既存タイトルから安定的に収益を上げつつ、将来のリリースに投資する同社の体制を示しています。
財務結果は大幅な成長を示す
2025年第3四半期の売上高は3億4,900万PLNで、前年同期の2億2,700万PLNから53%増加しました。
純利益は148%増の1億9,300万PLN。2025年1〜9月累計では、売上高が7億9,200万PLN(前年比21%増)、純利益は3億4,800万PLN(40%増)となりました。
主な収益源
『サイバーパンク2077』および拡張版『ファントム・リバティ』が牽引し、第3四半期の売上は2億5,300万PLNで前年の2倍以上となりました。
PS Plus Extra/Premiumへの追加、Nintendo Switch 2やMac版の発売、アルティメットエディションの登場が後押ししました。
一方、『ウィッチャー』シリーズの四半期売上は2,600万PLNで52%減でしたが、依然として堅調なタイトルです。
強固な財務基盤
四半期末の現金保有額は14億800万PLNで、積極的な開発投資を支える内容となりました。
営業キャッシュフローは2億2,100万PLN。配当、自己株買い、開発費(1億1,800万PLN)などの支出があったにもかかわらず堅調です。
販売記録の更新と旧作の活用
『サイバーパンク2077』は累計3,500万本を突破し、発売後の推移では『ウィッチャー3』を上回っています。

(出典:CD PROJEKT)
2025年は大型新作の発売がないため、同社は既存タイトルのライフサイクル施策やプラットフォーム展開、プロモーションによって業績を伸ばしました。
開発中のプロジェクト

(出典:CD PROJEKT)
CD Projekt REDには2025年10月時点で851名の開発者が在籍しており、7月から50名増加しました。
主なプロジェクトは『ウィッチャー4』、『サイバーパンク2』、『プロジェクトSirius』、『Hadar』などです。
主要タイトルの進捗
ウィッチャー4(開発コード:Polaris)は447名が参加し、Unreal Engine 5で新三部作の第1作として開発中です。今後は発売間隔の短縮も目指します。

(出典:CD PROJEKT)
『サイバーパンク2』(開発コード:Orion)には135名が参加しており、2026〜2027年に本格生産フェーズへ移行する予定で、新都市の登場も予定されています。
その他、『Sirius』(56名)や『Hadar』(29名)に加え、2026年に発表予定の未公開企画も進行中です。
外部協力と追加事業
外部スタジオFool's TheoryがCD Projektのプロジェクトに100名以上の開発者を提供しています。
また、同社は物理トレーディングカードゲーム『Witcher: Legacy』を発売し、生産性向上のためのAIツールを導入しています(コンテンツ制作には未使用)。
市場の反応と今後の見通し
11月26日の決算発表後、米国ADR取引で株価は6.58%上昇し17.00ドルに。年初来では47%上昇しています。
アナリストは目標株価228PLN前後の「ホールド」評価を維持しています。
SNSでは販売記録や新作情報への関心が高まり、2026年の発表計画が注目されています。
編集者コメント
CD Projektの第3四半期業績は、2020年の『サイバーパンク2077』混乱からの完全な立て直しを裏付け、同作は今や同社の中核シリーズとなりました。
同社の歴史を振り返れば、『ウィッチャー3』が10年経っても収益を生み続けているように、長期的な価値創出が特徴です。
複数の大型タイトルを並行開発する戦略は有望ですが、開発期間の長期化やコスト増などのリスクも伴います。
過去の成功が再現されれば、『サイバーパンク2』と『ウィッチャー4』は2030年までにRPG基準を再定義する可能性があります。
FAQs
2025年第3四半期の53%増収を支えた要因は?
PS Plus Extra/Premiumへの追加、新プラットフォーム展開、アルティメットエディション発売により『サイバーパンク2077』の販売が大幅に伸びたことが主因です。
AIはCD Projektの開発工程でどう使われていますか?
AIツールは生産性向上のために使用され、コンテンツ制作には利用されていません。
2025年のThe Game Awardsで新情報はありますか?
新規映像や発表は予定されていませんが、チームは参加し、『ウィッチャー4』がノミネートされています。
2025年のインセンティブプログラムの進捗は?
純利益目標の91%をすでに達成しており、最終目標(純利益最大20億PLN)の実現に向け順調です。
『サイバーパンク2077』の最新販売本数は?
2025年第3四半期時点で累計3,500万本を突破し、『ウィッチャー3』の同期間比を上回っています。
『ウィッチャー4』の発売時期は?
確定時期は未発表で、6年程度の新三部作構想の第1作ですが、2026年の発売はありません。
『サイバーパンク2』の開発状況は?
現時点で135名が参加しており、2027年までに300名規模へ拡大予定。2026〜2027年に本格開発へ移行し、新都市も登場します。
2026年に予定されている未発表プロジェクトとは?
詳細は非公開ですが、『ウィッチャー1 リメイク』やモバイルゲーム、ボードゲームではなく、インセンティブ達成を支える大型企画とされています。
株式市場の反応は?
11月26日の発表後、米国ADRで株価は6.58%上昇し17.00ドルに到達。年初来47%の上昇で、翌27日の取引後も投資家の好感が続きました。




