Appleは、「Apple Developer Program 使用許諾契約(ライセンス契約)」の改訂版を公開し、解釈コードの管理、位置情報ベースの機能、EUデータ規制への準拠、および「Tap to Pay」などの決済ツールの取り扱いに影響を与える重要な修正を導入しました。
新しい契約条件は、アプリの新規提出またはアップデートを行う前に、Apple Developerアカウント内で確認・同意する必要があります。
更新契約の主な変更点
解釈コードとアプリの挙動
Appleは、第3.3.1(B)項を改訂し、解釈コードを実行または埋め込むアプリに対する制限を明確化しました。
この更新は、動的スクリプト、ランタイムコードの読み込み、外部スクリプトエンジンを使用するアプリに影響を与え、プラットフォームのセキュリティおよびアプリ挙動の統制に対するAppleの重視姿勢を再確認する内容となっています。
位置情報通知とデータコンプライアンス
第3.3.3(F)項において、Appleは「Location Push Service Extension(ロケーションプッシュサービス拡張)」に関連する条項を更新しました。
この明確化により、アプリが位置情報をトリガーとする通知を扱う方法を標準化することを目的としています。
さらに、第3.3.8(A)項および添付文書4では、「Xcode Cloud」や「CloudKit」に関する新たな参照が追加され、EU規則2023/2854(EUデータ法)に沿った形で、欧州におけるデータ保護基準への準拠を開発者に求めています。
決済およびAPI認可
第3.3.9(D)項では、「Tap to Pay」APIの配布および管理条件が改訂されました。
これにより、どの事業体が当該APIを統合またはライセンス可能かが明確化され、対応地域における決済機能の安全な取り扱いと金融規制への準拠が保証されます。
プロモーションツールおよびオファーコード
Appleは、付属文書1および2において「プロモコード」と「オファーコード」の使用方法を再定義しました。
これらの変更により、デジタルプロモーションの上限および利用条件が明確化され、マーケティング戦略やアプリ内ユーザー獲得キャンペーンに影響を及ぼす可能性があります。これらのツールを利用する開発者は、更新後の定義と配布ルールを確認することが推奨されます。
実施スケジュールと今後の対応
Appleは、開発者に対して速やかにアカウントへログインし、改訂版契約に同意するよう呼びかけています。
翻訳版の契約文書は、約1か月以内に提供予定です。
動的コード、「Tap to Pay」、またはEUデータ関連サービスを利用するチームは、新しいガイドラインに完全準拠しているかを再評価することが推奨されます。

編集部コメント
2025年10月のApple Developer Program License更新は、Appleが法的明確性、データの透明性、そしてグローバルなコンプライアンス強化に取り組む姿勢を反映しています。
EUデータ法への言及が加わったことは、Appleが地域ごとの規制に積極的に対応していることを示しており、またコード実行および決済フレームワークの変更は、プラットフォームの健全性と金融セキュリティを維持するための継続的な取り組みを示唆しています。
これらの更新は、特にEU市場においてデータ共有義務が強化される中で、Appleのエコシステムとサードパーティ開発者との関係をより円滑にする可能性があります。
また、プロモーションツールの定義が明確化されたことで、App Storeマーケティングが新たな消費者保護基準にさらに整合し、開発者コミュニティ全体での信頼性と説明責任の強化が期待されます。