オープンソースAIコミュニティにおける注目すべき動きとして、AlibabaのQwenシリーズがHugging Faceでのダウンロード数で首位に立ち、Metaの定番であるLlamaファミリーを上回りました。
この節目は2025年後半に達成され、AIアプリケーション構築において開発者が選択するツールの傾向が変化していることを示しています。
節目となった達成
独立系トラッカーによる最新データでは、2025年12月中旬時点でQwenの累計ダウンロード数は約3億8,500万に達し、Llamaの約3億4,600万をわずかに上回っています。
年初にはQwenが後れを取っていましたが、第3四半期以降に差が急速に縮まり、逆転に至りました。
アナリストは、これは一時的な急増ではなく、関心の持続的な高まりを示す重要な指標だと見ています。
Qwenの成長を支える要因
Qwenの成功は、小規模から大規模まで多様なパラメータ数のモデルを定期的に更新して提供している点にあります。
柔軟なオープンライセンスにより、商用利用やカスタマイズが容易で、コストを重視するチームに支持されています。
デバイス上での効率的な実行を重視した設計に加え、推論やコーディング分野での安定した評価も、検証用途から実運用まで幅広い場面での魅力を高めています。
地域的・実務的な優位性
多くのダウンロードは柔軟性を重視する地域から来ており、特にアジアでは、中国語やアラビア語などに対応するQwenの多言語性能が強みとなっています。これは英語中心の用途に強いLlamaとは対照的です。
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直接比較:QwenとLlama
Llamaは成熟したツール群と西側エコシステムとの強い結び付きで依然として存在感がありますが、Qwenは新しいコミュニティプロジェクトで急速に採用を広げています。
現在ではQwenを基盤とする新モデルが増加しています。一方で、Llamaは大規模処理やビジュアル系タスクでは引き続き重要な位置を占めています。なお、ダウンロード数は関心や試用を反映するもので、必ずしも最終的な製品採用を意味するわけではありません。
| 項目 | Qwen(Alibaba) | Llama(Meta) |
|---|---|---|
| 累計ダウンロード数 | 約3億8,500万 | 約3億4,600万 |
| 主な強み | 多様なサイズ、数学・コーディング性能 | 汎用性、マルチモーダル対応 |
| ライセンス | カスタマイズに寛容 | オープンだが一部制限あり |
| エコシステム動向 | 派生モデルが増加 | シェアは減少傾向だが基盤は堅調 |
AI開発全体への影響
この変化は、デバイス向けアプリやクラウド運用など、用途に応じた選択が重視される、より多様なAI環境を浮き彫りにしています。
複数モデルの併用を促進し、企業により迅速なイノベーションを求める流れも強まっています。
編集部コメント
今回のQwenによる逆転は、米中のテクノロジー分断が続く中で、効率性とアクセシビリティに投資してきたAlibabaを軸に、中国のAI分野での存在感が高まっていることを示しています。
過去を振り返ると、このような勢力図の変化は、オープンモデルがスタートアップを後押しした事例のように、新たなイノベーションの波を生む傾向があります。
今後は、MetaがLlamaの更新ペースを加速させる可能性もあり、ハイブリッドなアプローチが標準となる、より協調的なエコシステムへと進むことが予想されます。その結果、世界中の開発者にとって選択肢が広がるでしょう。





